この建物は瀬戸内海の島の一つである宮島の門前町にあった町屋です。建てられたのは18世紀末ごろで、二階の出窓の出格子やその下の板庇(ひさし)にその時代の特徴が見られ、屋根は勾配が緩く軒の出が深くなっています。
また、土地の狭い宮島では側壁を背中合わせに作るため、妻側の屋根の突き出しがほとんどありません。奥の座敷は明治初年に建てられた別の建物を古い建物の中にはめ込んでおり、材料を運ぶのも大変だった島の事情をよく示しています。
館内には初期伊万里から初期色絵(古九谷様式)・柿右衛門様式、鍋島様式等の名品が揃い、古伊万里の世界を一望することができます。
江戸時代初期に現在の佐賀県有田周辺で始まった、日本で最初の磁器である伊万里焼は、時代を経るにつれ様々な様式が誕生しました。初期の頃の奔放な筆致の器から江戸時代中期になると、器に金を焼き付ける技法が完成し、1670~90年代には柿右衛門様式が誕生し欧州の人々をも魅了しました。さらに豪華絢爛な金襴手様式が作られるようになりヨーロッパの宮殿を彩りました。
本展では、松濤園の陶磁器コレクションの中から、選りすぐった名品をご紹介します。
「色絵荒磯文皿」元禄様式 1700-40年代
松濤園
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